初心者向け記事 弓具について

矢を買う前に全員知っておくことー弓力と矢の質量のバランス【弓道】

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弓道の弓と矢のバランス

今回は弓と矢の調整について解説します。初心者向けですが、必ず全員が知っておかなければならないことでもあります。ライターのk125と申します。

まず初めに、弓射はあくまでも物理現象です。

そのため、ある人が全く同じように引いたとしても使う矢が普段より重ければ下に飛び、反対に軽ければ上に飛びます。

適正より重い矢を使っている場合は、的へ飛ばすために知らず知らずのうちに上に飛ばすような引き方をすることになり射技の上達を妨げることになると考えられます。

特に初心者のうちは弓が弱く矢が長く重いため、矢を的に届かせようと離れで弓手を突き上げたり、べた押し、矢が水平より上を向いている(これは仕方のないことですが)状態に陥ることがよくあると思います。

弓力に対する矢の適正な質量[g]は、いくつかの文献に経験則として記載されています。

弓力を A kgfとすると

適正な矢の質量       出典

n分の弓ならn+1匁の矢   古い伝書

A + 10 g       弓道指導の理論と実際

A + 11 g

A + 12 g         永野一萃氏のHP http://www.issui.tv/?p=16

昔は非常に軽い矢を使っていたようです。

今日ではかなり重い矢を使っていることになりますが、矢の着点は安定します。

矢の選び方ですが

私が高校で弓道を始めたときは、男子は2015、女子は1913を使わされたため初期のころはみんな掃き矢を出していたり上を狙っていた記憶があります。

それは至って当然で、初心者が矢を選ぶときには矢束 + 10 cm ~ 15 cm の長さのものを選ぶため 100 cm を超える矢を使うものがざらにいました。

1913、2015は100cmでそれぞれ 21.3 g 、25.5 g であり、そこに矢羽や筈・矢じり・糸の合計が 約5 g とすると矢の総質量はそれぞれおよそ26 g 、31 g となります。

これに適した弓力を考えると

1913では14 kgf ~16 kgf 、2015では19 kgf ~ 21kgf となります。

この質量の矢を10 kgf 程度の弓で水平に狙って的に飛ばすことが如何に不合理であるか理解してください。

ただし、これは質量だけを考えた場合であり実際には箆張り(スパイン)や矢の長さ、上達に従い余分な長さを切り落とすことを考慮しなければなりません。

細かい値は以下を参照してください。

http://www.takakyu.com/advice/index4_pop.html

以上よりどうしても入部直後に自分の矢を買わなければならない場合は、男子であれば1913、女子であればSL1912や1813で十分かと思います。

そうでない場合はしばらく部や道場にある矢を使い、引き尺や弓力が定まってから買うのが一番効率的であると思います。

おまけに弓力[kgf]と質量[g]の話をします。

一般には矢の質量[g]のことを重さと呼ばれていますが、重さとは物体に作用する重力のことですから単位はSI単位系でN(ニュートン)です。

http://fanfun.jaxa.jp/faq/detail/98.html

 

また、弓力についてもkgでよく表示されておりそれ故か「重い、軽い」と表現されています。しかし弓の力は張力ですからN、もしくはkgf(キログラム重、キログラムフォース)で表されるべきであり「強い、弱い」と表現されるべきだと思います。Nで表しますとばねばかりで得られる値と異なってしまいますからSI単位系ではありませんがkgfで表す方が便利でないかと思います。

http://macasakr.sakura.ne.jp/T02TorqueHorsePower3.html

ついでに弓力と弓の寸法について

まず弓力について

様々な文献には、精一杯の力で引ける弓力の半分の強さが良いと書かれてありますのでここでもそれに則ることにします。

弓が豊富にある部活に所属している方は同程度の強さの弓を二張り一緒に引いて確かめてみればよいかと思います。

そうでない方はアーチェリーのゴム弓や、自作のゴムチューブをばねばかりで強さを測定して使ってみたり…等々の方法が考えられますが練習さえ積めば25 kgf程度の弓であれば誰でも引けるので無理せずご自分の好きな弓を使えばよいかと思います。

学生のうちは矢数をかけられるので少し背伸びをした弓でも問題ないかと思いますが社会人になると多くの人は矢数が激減すると思うのでmy弓を買うときは注意しましょう。

 

次に弓の長さについて

弓道講座から引用

一般的に使われているものを以下にまとめます。

三寸詰 212 cm(七尺)  引き尺が80 cm以下

並寸 221 cm(七尺三寸)引き尺が85 cm以内

二寸伸 227 cm(七尺五寸)引き尺が90 cm以内

四寸伸 233 cm(七尺七寸)引き尺が100 cm以内

この他にも一、三、六、八寸伸びの弓を見たことがあります。(背高い人は大変そう。)

ここでは敢えて判断基準を引き尺にしました。それは矢束を大きく超えて引く方が多くいるためなのですが、グラス・カーボン弓ならいざ知らず竹弓では破損の危険性が増すので引き尺に合った弓を選ぶことをお勧めします。

また、他にも今日から使える有用情報がたくさんありますので是非見ていってください。
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