今回は弓道の弽の選び方、サイズやバランス等のフィッティングについてお話します。編集長のKouと申します。
弽選びは射技に大きく影響します。また弽を将来変えたとしても影響は残りますので弽は他のどの弓具よりも慎重に選びます。
ですが初級者の方やこれから初めて弓道を習う方は知識も少なく、失敗しがちですので弽の影響で射術に悩んでしまうことになります。
当然指導者の方も後輩の弽選びには慎重になっていただきたいと思います。
また、的前では特別な事情がない限り三つ弽が有利ですから初心者にはまず堅帽子三つ弽をお勧めしています。
銘や種類に限らず、サイズはきっちり選ばなければなりません。
①弓具店に行った場合:弽選びの要点を優先度順に。 ※三つがけについて説明
1.最重要:親指と手首
親指の大きさと手首の位置は最も重要です。ゆるすぎると暴発、しがみ(力み)の原因になりますし、小さすぎると自由が利かず思うように離れは出せません。
親指の帽子は弽を手に付けてみて親指の爪先が触れるくらいの長さがいいでしょう。
太さは親指の付け根を動かして帽子が動くくらいにしておきます。あまりに余裕があったり、ぴっちりして指が動かせなかったりしないようにしましょう。
手首の位置は小紐の位置で決めます。手首のくぼみの上に紐が来るようなものを選びます。(下の画像参照)(サイズ確認の際は下掛けはつけないようにしましょう。)
2.超重要:親指の向き
弽を手から外して親指を折りたたんで置いたとき、親指の向きが中指と並行になっているような向きが良いとされています。
この向き如何によって引き込む位置が変わってきます。それゆえに離れへの誘導もかなり影響します。
骨格や指導者によって好みの向きは変わってくるわけです。
もちろん、決まった正解はありません。「力まずに邪魔せず離す」構造は実は難しいのです。
3.ある程度は確認する:中指、人差し指の長さ太さ
中指。人差し指の長さは奥まで指を指して、弽指の根本が指の第三関節(MP関節)よりもすこしだけ上にくる程度が良いでしょう。(先ほどの写真を再度参照)
ですがメンテナンスで指合わせはできますので大幅に違うことがなければよいでしょう。使い慣れると革が伸びてくることも多いのである程度フィットしていれば気にしすぎなくてもよいでしょう。
親指と人差し指の股の部分は、現在の環境では選ぶことができないと思われます。長さがあっていれば許容し、こだわるならフルオーダーあるいは修理が必要です。
4.ある程度は確認する:弦枕
親指の内側には弦をひっかける溝がついています。②の帽子の向きと射の傾向によって溝の傾きは異なります。
少なくとも深さは3㎜以下のものがよいでしょう。
自然にひねりをかけて弦枕の中央があっているかどうかくらいは確認しておいても良いでしょう。
コテ当てによって調整できますので、少しのズレは許容できます。
②弽をオーダーする
弽師・製作者さんによって違いますが、自分で手形をとって郵送することで自分に合った弽を選んでもらえる「手形合わせ」や、既成の型を組み合わせて作る「セミオーダー」、すべて手作りで作る「フルオーダー」があります。便利な時代になったもので、一部インターネットでも注文できます。
オーダー品のため、革が上質なものを頼むこともできますが、やや値が張ります。
重要:流派を確認
詳しい流派はまだわからないかもしれませんが、「正面打起し」か「斜面打起し」かは確認しておきましょう。
あまり深入りするときりがありませんが、種類によっても帽子の角度や指又の如何、弦枕の形状は製法の差や個体差も多分にあります。
実は最高を求めてしまうと相当な知識と根気が必要です。
なんにせよ注文するならばこれから練習する自分の流派をできるだけお伝えするのが良いかと思います。
というわけで今回は初級者向けに弽の選び方を説明させていただきました。記事中に誤りがございましたらお問い合わせ等からご指摘ください。
また、他にも今日から使える有用情報がたくさんありますので是非見ていってください。
参考文献.アサヒ弓具「弽の取り扱い方」他
アフィリエイト等広告無し無料サイト「弓道大学」編集長
弓道の理解し辛い部分を原理原則から演繹し考察します。
全国規模大会で団体優勝の経験もさせてもらいました。
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