今回は弓の種類や歴史、変遷について見ていき、上長下短や長さの規定にも触れてみたいと思います。どうも、編集長です。
弓は縄文時代からある原始的な道具
弓は全世界で旧石器時代からある狩猟や争いで使われた原始的な道具で、どの大陸でも同じく木の棒で作られていました。
このような単一木材を削るだけで作る弓を日本では丸木弓と言います。
日本の弓は世界でも長いことで有名ですが、このころから飛距離と威力、耐久性を重視して2メートル近い大きな弓を使っていました。
短い弓は軽くて短い矢を長距離に飛ばすのに優れています。また、その短さのため使える素材も角や腱など幅が広くなっていますが、和弓は木材に限られています。
和弓は中国や朝鮮半島で使われる短弓とは大きく異なった、独自の形状でした。類似のものとしてアイヌ、台湾の弓があり、モンゴロイドとの関連性を言われています。
日本においても丸木弓の時代はとても長く、平安時代中期まで続きますが
西暦600年代に接着剤(膠)が伝来し、弓を複数の素材で接着して作る時代が訪れます。
伏竹弓(平安時代中期)丸木弓の片側に竹を張り付けたもの。
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三枚打弓(平安時代後期)竹で木材を挟んだもの。このときから張る方向と反対に反りを付けた彎弓になる。
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四方竹弓(室町時代)木材の四方を竹で囲んだ弓。
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弓胎弓(ひごゆみ)(戦国時代)芯材に竹ヒゴを使い、側木に木材を使ったもの。現代まで変わらず製法を伝える。
数百年かけて製法が研究され、いまから500年くらい前には今の弓の形になったわけです。
グラス・カーボン弓の登場
その後は改良はあるものの(ニベの向上は特に顕著)和弓の製法はほとんど変わることなく時代は20世紀まで伝わっていきます。
そして太平洋戦争後の1967年に宮田純治氏がグラスファイバーを用いた和弓を初めて製作し、ミヤタ総業として1972年に販売を開始することになります。
その後、さらに高性能素材としてのカーボンファイバーを用いた和弓も登場していきます。
そして竹弓の中にカーボン繊維を内蔵したカーボン入り竹弓というものも登場してきます。
こうして現在は大別すると4種類の弓が生産されていることになります。
グラスファイバー弓:木材とグラスファイバーを用いた弓。竹弓の故障しやすさを克服し、剛性・弾性を獲得した。
グラス・カーボンファイバー弓:グラス弓にさらに高弾性、高剛性で軽量なカーボンファイバーを用いたもの。捻じれ剛性に優れ、復元速度も速い。
竹弓(三枚打弓・四方竹弓・弓胎弓):製法は古来のまま受け継がれた伝統的な竹製和弓。接着剤はニベと合成接着剤がある。温度、湿度の影響を受けやすい。
カーボンファイバー・竹弓:伝統的な和弓に剛性追加と形の安定性を求めて超高性能なカーボンを芯材に用いたもの。裏反りが少なくても矢飛びが確保された。
それからというものの、安価で扱いやすい新素材の弓は学生や初心者に幅広く愛され、普及に大きく貢献しました。
なぜ上長下短か
和弓は丸木弓の時代から弓の中央よりも下三分の一を持つことで知られています。
これは世界的にみると多数はではありません。扱いにも技術が必要になる使い方です。
この理由には諸説ありますが、はっきりと結論は出ておりません。
馬で扱うためにした3分の1を持ったというのは時代的に誤りで、馬が伝来したのは5世紀前後です。
他の説として、「イカダの上で使うため」「草むらに伏せながら使うため」「遠くに飛ばすため」「振動を抑えるため」「枝から弓を作ると下側が強くなってしまうため」などいろいろあります。
弓の長さは何を基準にしているのか
弓の長さに関しては実は何か明確な基準があるものではありません。
丸木弓の時代は六尺~八尺まで様々でしたし、室町時代は足利義満将軍により七尺五寸(約227cm)を基準と定められていました。
現在の並寸である七尺三寸を基準としたのは16世紀末であり、通し矢の先駆者である木村伊兵衛が定めたとされているようです。
今はなぜ引き込む長さに応じて85cmは並寸、90cmは伸寸などときまっているかと言えば、その弓の強さを測るのに便宜上言っているにすぎません。
以前の記事の通り(弓力と引き尺の関係)並寸では85cm付近に、伸び寸では90cm付近にスタッキングポイントがあることは分かりましたが、自分の引き込み長さは完全にスタッキングポイントに合わせることが良いことかというと絶対にそうというわけでもないわけです。
実際にはその感じ方によって弓把等と調整するものであって、弓の長さは自由に決めていいわけですね。
おおむね以上が弓に関して基本的なところになります。
歴史や成り立ちを見ることで、道具の性能を知り、選択することができますね。
また、他にも今日から使える有用情報がたくさんありますので是非見ていってください。
アフィリエイト等広告無し無料サイト「弓道大学」編集長
弓道の理解し辛い部分を原理原則から演繹し考察します。
全国規模大会で団体優勝の経験もさせてもらいました。
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