弓道迷言集

平付けに名人なし【弓道迷言集】

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近年になって語られるようになった、いわゆる「平付け」に関する通説がある。

「平付けでは離れがうまく出ない」といった主張がその代表例だが、その根拠が明確に説明されることは少ない。

そればかりか、どこからを平付けと呼ぶのか、馬手をどのように使い分けるのか、何のためにその形を選択するのかといった基本的な整理がなされないまま、言葉だけが独り歩きしている印象を受ける。

本来、これらは弽の構造や射法との関係を踏まえて考えるべき問題であり、そこへの理解なしに議論すること自体が難しい領域でもある。

しかし歴史を見れば、昭和初期頃までの弽は、三つ弽・四つ弽を問わず、現在のものと比較してより平付けに近い設計がされていた例も確認されている。

そうした前提を踏まえずに単純な優劣で語ってしまうのは、やや短絡的と言わざるを得ないだろう。

また、平付けかどうかという問題は一律に決まるものではなく、骨格や身体特性によっても適した形は変化する。

実際に、平付けを基盤とした技術体系や、それを高度に体現している流派・射手も存在している。

さらに言えば、現代弓道においても、状況によっては平付け的な要素が有利に働く場面は少なくない。

このように、本来は多角的に検討されるべきテーマであるにもかかわらず、単純化された言説だけが広まってしまうのは惜しいことである。

流派や歴史に触れることなく、また道具への理解を伴わないまま断定的な評価がなされる場面を見ると、やはり一度立ち止まって整理する必要があると感じる。

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